効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■米電力大手PG&Eの苦境

1月に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を申請した米カリフォルニア州の電力大手PG&Eが28日発表した2018年12月期通期決算は、最終損益が68億5100万ドル(約7600億円)の赤字(前年同期は16億4600万ドルの黒字)だったと報じられている。以前にも述べたことだが、昨年と一昨年にカリフォルニア州で起きた大規模な山火事の損害賠償や罰金に備え計140億ドルの費用を引き当てたのが響いた。山の中を走る高圧線が切れるか、風で揺すぶられて樹木と触れるかして発火したという理由での訴訟が起きているのだが、まだその原因特定はできていないものの、会社側としては、それに対するコストへの対応をしたということだ。

連邦破産法11条を申請し、経営破綻したのだが、破綻前の資産規模は714億ドルで、米調査会社によると過去に破綻した米企業のうち6番目に大きな規模だったようだ。電力とガスを供給しているだけに、簡単に事業を止めるわけには行かない。今後の再建策を巡ってはガス事業と電気事業を別々の会社に分割する案も浮上している。PG&Eは州の規制当局に提出した文書の中で分割案について、「1つの事業体が管理する総リスクを削減できる可能性がある」としつつ、「分割によって(間接部門が増えることにより)コストがあがる」とも述べ、ガスや電力の料金が上昇する可能性を示唆した。

とは言え、電力とガスの脅威級事業について、現在の組織形態がそのまま残ることにはならない可能性もある。サンディエゴ市には市営のガス会社があるし、ロサンゼルス市には、同じく市営の電力・ガス事業がある。現在のPG&Eが地域単位に分割されることもありうる。過去の自由化の過程で、電力事業については発電部門を売却しているから、小さい単位に分割することは難しいことではないかもしれない。ガス供給は一体化してPacific Gas社として残るかも知れない。今後の展開が見ものだと思う。