世界屈指の液化天然ガス(LNG)輸出国であるカタールは、2024年までにLNG生産能力を年1億1000万トンに増やす計画を上方修正すると今日報じられている。18年にオーストラリアに一時的に奪われた最大輸出国の地位を奪い返す狙いがあり、アジア市場での需要拡大を視野にアフリカなどでのガス田開発も広げ、世界のLNG市場のリーダーとして地位を固めたい意向のようだ。
これ以前に、ロシアが日本に北極海のLNG開発に投資を勧誘しているというニュースが入っていた。ロシアからドイツに天然ガスを供給するパイプラインの建設に米国のトランプ大統領が反対の姿勢を示したが、もし日本が具体的に前向きな動きを始めると、米国は必ず反対して介入してくるだろう。いま軍備で日本は米国の押し売りを受けざるを得ない状況にあるように、日露間の対立がそのまま米国から日本へのLNGの押し売り、あるいは、削減の脅しに結びつく可能性もある。
さらにLNGの輸出余力がなかったインドネシアが新規開発したガス田からの天然ガスを液化してシンガポールなどに輸出しようという動きもある。
LNGの世界市場がきな臭い政治動向を反映することになると、日本の立場は非常に難しいものとなり、その舵取りを誤ると、世界で孤立する不幸な状況が生まれるかも知れない。