米国エネルギー省が発表したところによると、アルゴンヌ国立研究所に、リチウムイオン電池を効率よくかつ、コストも多く掛けないで回収する技術を開設するセンターを発足したそうだ。研究所は民間事業者とも共同で技術開発を推進するとのこと。この発表によれば、この開設と同時に、優れたリサイクル(電池の回収、保管、輸送、抽出)技術を開発したところに500万ドルという高額の賞金を準備している。この設備開設と賞金は、目標として全米のリチウムイオン電池の90%を回収し、その回収したものから基盤となる希少金属の90%を回収するというものだとしている。現時点では、この電池の回収とリサイクルは5%に届かないレベルにあるそうだ。今後増加する電気自動車のことを考えると、重要な取り組みになることは確かだ。
日本でどのようになっているかネットで調べてみると、大手の電器店などが、消費者に使用済み蓄電池の持ち込みを推奨していることが分かる。自分もいつも利用しているところに持ち込むが、それに対してポイントを付けてくれるので、回収のルートはあるようだ。また、自治体も電池の廃棄処分の方法も設定しているようだが、環境省の資料によると、本体の回収は行われているが、それから素材を回収するのにコストがかかりすぎるためにほとんど焼却してスラグ化し、道路舗装材料などに利用されているのが現状のようだ。そして、環境省も資源として回収する技術開発に取り組んでいるようだが、米国のように力の入ったものかどうか、その進展状況は分からない。
米国の取り組みは、資源のリサイクルによって、今後いわば国の安全保障にも関わる可能性がある蓄電池を、資源の輸入に頼る率を引き下げようとするものだ。資源としての回収設備は限られた数になることから、回収した電池をここへ安全に輸送する技術の開発もテーマになっている。環境省の開発プロジェクトも同様な内容になっているが、安定した技術が世界に先駆けて開発されれば、重要な技術輸出に結びつくことも考えられる。