効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■九電が玄海2号機廃炉を決定

九州電力は13日、玄海原発2号機(佐賀県玄海町)を廃炉にすると発表した。経産省の資料を見ると、これで廃炉決定済みと検討中を合わせると24基になる。これまでに再稼働した基数は9基。玄海の場合、4基ある原子炉の内2基が再稼働していて、2基が廃炉になっている。玄海2号機は1981年3月に稼働し出力は55万9000キロワット。2011年1月に定期検査に入り、3月に東京電力福島第1原発の事故が発生した後は停止したままになっていたが、稼働から原則40年の運転期限が21年3月に迫っていた。九電には運転を延長して再稼働を目指す選択肢もあったが、福島原発事故以降の安全対策費は累計9000億円を超える。この費用がかさむほか、テロ対策施設建設のスペースの問題があるため断念したと報じられている。廃炉費用は365億円に上るとされているが、これで納まることはないだろう。

九電の判断の背景には、太陽光発電など再生可能エネルギーが急速に普及したこともありそうだ。九電管内では18年末時点で830万キロワット程度の太陽光発電が送配電網につながっている。電力需要が減る春や秋、連休時には出力を制御する状況が度々起きている。19年末には100万キロワットの石炭火力の運転開始も控えることから、再稼働させると出力抑制がさらに多くなることは確実で、他の発電設備の稼働管理も複雑になる。高いコストで玄海2号機の再稼働を目指すほど、供給力を高める必要性は大きくなかった。

今後いずれ廃炉作業に入るのだが、それに何年かかるかも課題になる。単純にぶっ壊すことは、少なくとも炉心部分ではできず、いま福島第一原子力発電所の事故対応ほどではないにしろ、慎重な作業となるはずだ。だが、ここで積み上げる経験と技術は、世界でこれから始まる廃炉作業へ提供するノウハウになると思う。原発技術の輸出に政府はまだ未練をもっているが、廃炉技術を輸出することを考える方が近道ではないだろうか。