中部電力は25日、法人向けに初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入できるサービスを始めると発表した。再生可能エネルギーを活用して二酸化炭素(CO2)排出量を抑えたい企業や、地震など災害時の非常用電源を確保したい需要に応えるためとしている。中部電力が太陽光発電パネルの取付を行い、そのコストは中部電力が負担する。取り付け先のユーザーから見ると、屋根貸しになるが、おそらく中部電力は賃貸料を払うのではないだろう。
料金負担は顧客が消費した太陽光発電設備からの電力と、中部電の送電網から供給を受けた分のみ。出力100キロワットの太陽光パネルを設置すると、中電の標準的な料金よりも3~5%安くなるという。太陽光設備を利用した中部電力のユーザー囲い込み施策だ。新電力も同様のことができないわけではないが、おそらく送電会社から要求される系統連系費用がかなりかかるために、その回収を考えると無料取付ができるケースは少なくなるはず。2月から企業の店舗や工場の屋上に、太陽光発電設備を設置するサービスを始める。新電力のLooop(東京・台東)などが太陽光パネルの設置、メンテナンスを担うことになっている。Loopは電気を売るのではなく、工事屋として中部電力に使われているだけになる。
企業向けを手始めに、20年度をメドに家庭向けにも同じサービスの展開を検討しているということだが、他の旧電力も同じことを始めるだろう。ここで重要なのは、系統連系に関わる情報を旧電力会社は詳細に把握していて、それ以外の新電力には系統情報がないために、接続コストが分からないままにこの方式を一般化することは、かなり難しいだろう。単に太陽光発電設備のコストが安くなっただけで可能になったのではなく、旧電力が持つ系統情報に関わるコストを旧電力は安く算定できるからだと思う。