効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

鉛蓄電池の再生

昨日、太陽光発電が系統を擾乱することにならないよう、蓄電池を利用しようとする政府の考え方に疑問を投げかけた。この発電設備の稼働を予測するのは、天気予報が地域レベルまで正確に行われるようになれば、極めて容易である。雲の陰がかかったりすることによる出力変動が避けられないのは勿論だが、周囲が明るい限り発電がゼロになることはないし、設備がいくつか周辺にあれば、それを合体した出力変動は非常に緩やかなものになる。規模が大きくなれば、パネルの面積も大きいために雲の陰のかかりかたも順次的であって、早くても秒単位で増減するはずだ。設置されたときにはそれなりの対応が系統にはなされているはずだから、周辺の系統がおかしくなることはないと想定できる。
とんでもない山の中にメガワットクラスの太陽電池が設置されたとすれば、その発電量は周辺で使い切れないために需要がある都心に向けて送電される必要があり、いままでと違って電気の流れが逆になることは考えられる。このような状況への対応は技術的には問題がなく、もし問題にするとすれば、配線を新しくしたりする電力会社のコスト負担が必要だということだろう。電力会社がこの逆流を拒否するとすれば、使い切れない電気を蓄電池に貯めるか、出力を人為的に抑えざるをえなくなる。政府の方針はこれを推進しようということだろうか。余計なことをしたくないという電力会社の独善だと言ってもよいだろう。
一方蓄電池のコストが下がれば、住宅に大きめの蓄電池を設置して、使い切れなかった太陽電池からの電気を貯めておいて、夜に使うということが検討対象になってくる。その時には電力の系統に結ぶ必要は必ずしもない。太陽光発電設備が故障するので、一番頻度が高いのは電子機器であるパワーコントローラーだろう。電池パネルが吹き飛ばされたりしない限り、全部のセルが駄目になる可能性はゼロに近い。とすれば消費量に見合った太陽電池パネルの大きさと蓄電池のバランスを考えれば、電気会社のお世話にならない住宅ができることになる。
ここで課題となるのが蓄電池の価格と寿命だろう。この面ではこれからの技術開発で経済性も含めて実用的なシステムが商品化されるのではないだろうか。その一つが最近報道された鉛蓄電池の再生技術だ。弘電社が、非常用電源などに使用する据え置き型の鉛蓄電池やアルカリ蓄電池を対象に、化学劣化した電池に再充電を行い再利用するバッテリーリユース事業を本格開始したという。パルス式充電により蓄電池の劣化原因を取り除き、新品に近い形で再利用する仕組み。何年か使っていて劣化し、容量が少なくなった蓄電池を同社が預かって再生して返却するのだという。その間代替蓄電池を貸与することも難しい話ではないだろう。鉛蓄電池の性能自体を向上する新技術について最近書いたが、それと保管関係があるし、既存の非常用鉛蓄電池がこれで再生利用できるとすれば、大きな資源節約ともなる。全て自前の電気で生活できる住宅が生まれるのも遠くはないかもしれない。
北陸電力も4千キロワット級の太陽光発電設備を建設すると発表した。電源のコストとすれば一番高いクラスのものを、競って電力会社が設置する一番の理由は何だろうか。需要地に近く設置するので送電線がいらないのえ総コストは下がるのだろうか。