効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■街全体のエネルギー効率を上げる:国交省が特例

道路で囲まれた街区全体のエネルギー効率を上げるためには、そこに建設される建物の電力や熱を街区内の一カ所で作り、全体の建物で共用するようにすれば、それに必要なプラントの規模は大きくなり、発電効率も上がるし発電機から回収する熱を利用するコージェネレーションもやりやすくなり、空調の効率も大幅に上がる。

ところが、一つの建物にこのような設備を集約すると、それを収納する容積が大きくなり、規制とのフリクションが起きる。それを建物の延べ床面積の10%超を上限に、省エネ設備を設置する面積分容積率の計算に含めず、環境性能に優れた建物の新築や改修を後押しするために、設備を置く建物の容積率を緩和する特例を設けることにした。優遇割合は今後詰めるが、10%超から20%未満の間で検討を進める。

国が定めた高い省エネ目標をクリアした建築物に対しては容積率の特例を与える仕組みは現在もあるらしい。ただ、それは同一の建物の中で完結する取り組みを対象にしている。街全体に広げたエネルギー効率向上への対策としてはこうした優遇措置が無かった。オフィスなど業務部門のエネルギー消費量は増加の一途をたどっており、1990年と比べて現在は4割近くも増えているため、国は対策を急務としている。この特例では、たとえば1000平方メートルの建物に100平方メートル分の設備を設ける場合、特例によって、少なくとも100平米は容積率の計算に算入されなくなる。建物の所有者はその部分を商用や居住用に使えるメリットがある。

このような対策は遅きに失したと言えるだろう。街区全体でエネルギー供給を一元化する動きはかなり前から始まっているのだから、容積率の制約で一元化が出来なかったケースも多いと推察できる。ともあれ、このような具体策が打ち出されたのは社会全体のエネルギー効率を上げ、エネルギー安全保障にも貢献できる。街区全体で利用する再生可能エネルギーの導入もやりやすくなるだろう。