効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■日本の木質バイオマス資源利用

再生可能エネルギーの利用を考えると、太陽光や風力の場合、気象現象としての変動は避けられないが、エネルギーの供給はほぼ無限にある。水力発電も、災害時に利用できないこともあるが、基本的に水流が止まらない限り供給がなくなることはない。だが、木質バイオマスを考えると、原料となる樹木を育て、適切なときに伐採し、その後に植林を続けなければ、供給は途絶えるし、伐採にはどうしても人手をかけた事業として成立しなければ供給が途絶える可能性は高い。安定した供給を継続するには、計画的な作業が必要となる。

今日の日経新聞夕刊に、具体的な数字で木質バイオマスを考えることが出来る記事があった。林野庁は国産木材の活用を促すため、関連産業の支援に乗り出すというもので、国産木材で住宅を造る工務店や家具メーカー、木材の流通業者などに対し、設備投資や運転資金の確保を後押しする。国内では戦後に植林した木が相次ぎ樹齢50年を超え、伐採に適した状態になっており、一連の支援で需要を底上げする、というものだ。戦後に国や地方が積極的に植栽した人工林で木の樹齢が50~70年に達し、「主伐期」と呼ばれる切り時を迎えた木材が豊富にある。森林全体で毎年7000万立方メートルの「木材」が生まれているものの、活用されているのは約4割の3000万立方メートル足らずにとどまるというから、大きな余剰が生まれていることになる。

国有林の伐採を長期間にわたって民間に任せる制度もつくる。民間委託の期間は現在、1年程度と短いが、数百ヘクタールの広い森林については10年以上、任せられるようにし、森林組合などが機械の導入といった設備投資の計画を立てやすくする。国勢調査によると林業の担い手は15年時点で4万5440人と5年前に比べて約1割減ったという。もっと減っているのではないかと思っていたが、事業として対応できる需要が確実にあれば、参画する人も増えるだろう。

製材には必ず廃材が出るから、その利用も製材事業の安定性がなければ維持できない。林野庁が前に動いたということは、日本の山林を健全に保ちながら、木質バイオマス燃料の利用についても後ろ盾ができたということだろう。