効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■地域内で自営線による電力供給

環境省が、再生可能エネルギーを活用し、非常時に電力を自給できる災害に強い町づくりを2019年度から始めると報じられている。電力会社の送電線ではなく民間事業者などが自ら引いた送電線「自営線」を活用し、分散型のエネルギー融通システムを作るということだが、どのような規模のものを想定しているのだろうか。自営線を使うことで、太陽光発電などで作った電力を、大手電力会社に頼らず柔軟に供給できるようにし、蓄電池や電気自動車(EV)と組み合わせて、地域ごとに自立した分散型の電力網を築くということだが、あまりに机上の空論的楽観論のような気がする。

あたかも自営線を使えば電力会社の送配電系統に依存せずに電力を利用できるような印象を与えるが、そのためには、かなり余裕のある蓄電装置がなければ無理だろう。一つのブロックにある複数の建物や工場への電力や熱の供給を取りまとめて効率の高い発電装置などで供給出来るようにすると、エネルギー効率が大きく上がり、コストも下がる事例は既に幾つか実在する。これには必ずしも再エネを必要とするものではない。しかも、通常の状態の場合、電力事業者の持つ系統と連系することによって、安定性や安全性が維持できる。余った電力を系統に売ることも出来るし、不足分を購入することも出来る。

通常の送電網から切り離して、自営線のみを使って域内の電力を供給するのは、理屈の上では成立するが、夢想にすぎないと思える。どのような実証試験をするのか詳細を知りたいところだ。