効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■風力発電で全面入札制

事業用の太陽光発電の固定価格買取額が入札制になり、時には予定価格に達せず不成立の時もあるという。それが風力発電でも全面的にこの制度が採用されるようになるらしい。経済産業省再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)で2021年度以降、安い電力だけを買う「入札制」を風力発電に全面的に導入する方針だという。欧州などに比べ発電コストが高止まりしているため、事業者に低コスト化を促し競争力を高める。太陽光でも入札制の範囲を拡大する方針で、再生エネ全体で育成から競争への比重を高める。風力発電の発電コストが高止まりしていると言うが、その理由の一端は政府の規制にもある。一方的に事業者のせいにするのは無謀だろう。

再エネ電力の固定価格買取制度では高く買い取った電力価格を電気料金に上乗せすることから、消費者負担が大きくなりすぎたという批判があることから、まず固定価格自体を引き下げると同時に入札制によって競争させて価格を引き下げようということだ。たしかに電気料金は全体として高くなり、特に高圧電力についてはドイツのように割安にするという方策も採らなかったために、産業政策としても問題のある制度となっていた。また、建設の認可をとると、稼働が遅れても、急速に下がる発電コストとは関係なくいつまでもそのままの買取価格にするという最初の制度設計のずさんさから来る問題を見直すべきだが、ただ電気料金が高くなって消費者負担が大きすぎるという理由だけを上げて、新たな制度や価格を導入すべきではないと思う。

風力発電については、19年度の買い取り価格は陸上風力が1キロワット時あたり19円で、洋上風力は同36円。洋上風力には一部案件で入札制を実施する方向になっていた。FIT法の見直しを予定している21年度以降には固定買い取り制度ではなく、入札制への全面切り替えを原則とする方向が示されている。経産省は30年に発電コストを世界平均並みの8~9円にする目標を掲げるが、現状のままでは達成が厳しいとみられることから、入札制で努力を促すとしている。

このようなやみくもなやり方でコストを下げようとしても、日本での風力による発電コストが急速に下がるとは思えない。結果として、風力発電の新設を抑制する結果にならないか心配だ。