空調や衛生設備の設計・施工会社のナカムラ(新潟市)は、海の波の力を利用した小型で低コストの「波力発電装置」を開発すると報じられている。海上に浮かべて船舶の標識灯やダイバーの進路案内の電源として利用することを想定しているが、新潟工業短期大学や新潟大学と共同で、新潟県粟島浦村沖の日本海で実証試験に取り組み、2019年度以降の実用化を目指している。
開発する発電装置は80キログラム程度と軽く、直径約60センチメートルの小さな円形の浮遊装置に発電機、波の上下運動を発電用のエネルギーに転換するローラーなどを備える。心棒に支えられた浮遊装置が、波の振動によって上下運動をするエネルギーを利用して発電する。実験機の段階で製造費は30万円程度。今後完成度を高め、従来の同様の装置よりも小型で安く、導入しやすくする。発電機の単独での出力は10ワット程度と少ないが、複数を同時に配置することで発電量を引き上げられると見ている。
1月中にも日本海の粟島浦村沖に位置する再生可能エネルギーの実証海域で実験に着手するが、今後、具体的な発電効率の評価などを進める予定で、その後もコストの削減などに向けた改良を進める。安価な塩化ビニールなどを素材に使い、塗装で耐久性を高めている。発電装置には海底に本体を固定する方法もあるが、新たに開発する装置は全体を海面に浮かべるため小型化でき、潮位の影響を受けずに発電ができる利点があるという。
小型でコストがかからないし、固定させない方式だから、必ずしも海への設置だけにとどまらず、波が常にある川などでも利用できるだろう。そうすれば、信号の電源などにも利用できるはずだから、応用範囲は大きいと思う。そして、小さい物も数珠つなぎにすれば出力は大きく出来るから、かなり柔軟性の高い再エネ発電設備が世に出ると期待したい。