大規模水力発電設備は、ダムを建設することによって地形が変わり、水流の変化がその地域の生態系に大きなダメージを与えることから、再生可能エネルギーの分類では別枠にして外すことも多い。だが、規模の小さな水力発電は、生態系への影響も地形の変化も少ないために、再生可能エネルギーの重要な部分となっている。しかし、水力発電全体としてみれば、発電の時に化石燃料を消費しないために地球温暖化に悪影響を与えることはないし、揚水発電は、これからも増加を続ける太陽光発電の系統への悪影響を緩和する役割が大きくなっている。また、水力発電業界のレポートでは、水力発電を世界的に見れば、その発電コストは非常に小さく、0.05ドル/kWhであり、今後太陽光、風力の利用を促進するためにも、もっと可能性を探るべきだとしている。
米国エネルギー省の資料では、米国にあるダムの数は8万を上回るが、その内発電に利用されているのは3%に過ぎない。これを一部でも発電用に転換すれば、環境悪化を抑えるのに大きな役割を果たすことが出来るとしている。トランプ大統領は、パリ合意から脱退したが、水力発電については、その意図がどこにあるかは別にして、“素晴らしい”と賞賛していることから、水力の利用促進について政治的な障壁は少なくなっているとされている。
少し前に書いたことだが、日本でもダムの利用方法を見直すことによって、発電量を飛躍的に伸ばすことができるというのと同様に、世界のダムのあり方を見直す時期が来ているのかも知れない。