効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

鉄鋼製造と石炭の関係

鉄鋼を製造する高炉では、コークスが大量に使われるが、コークスは石炭を蒸し焼きにして作る。その時に出てくるガスが昔は都市ガスに使われていた。高炉からはCO2が大量に排出されることから、地球温暖化対応としては困った存在だが、鉄鋼は全ての産業を支える物として日本では高炉は不可欠のものだった。しかし、脱石炭の動きが鉄鋼産業にも拡がってきたということだ。鉄鋼は産業界で最大量のCO2を排出する。最大生産国の中国が石炭を使う高炉の淘汰を進め、新興国や欧州でも環境規制を強める。高炉は高品質な鉄をつくるのに欠かせず、新日鉄住金など日本勢は技術革新で乗り切る構えだが、世界的な環境対策の競争に乗り遅れれば存在感は低下しかねない。
国際エネルギー機関によると世界の産業のCO2排出量に占める鉄鋼の比率は約3割。日本では約4割を占める。世界の鉄鋼の半数を生産する中国も「脱・高炉」を加速している。経済協力開発機構OECD)は「中国の鉄鋼業の高炉比率は現在の9割から6割以下に下がる」と予測しているとのこと。製鉄の方法は、鉄鉱石から鉄を取り出す「高炉」と鉄くずを溶かし再利用する「電炉」に二分できる。電炉は製造段階のCO2排出量が高炉の4分の1とされる。しかし、電力消費量が大きいから、総合するとそれほどの削減はできないことは確かだ。だが、環境規制が強まるインドや東南アジアでも今後は一定程度、電炉の導入が進む可能性がある。一方で、日本の鉄鋼業の電炉比率は17年で24%と世界平均(28%)よりも低いとされる。日本勢が得意とする自動車用鋼材などの高付加価値品は高炉でないと造るのが難しいらしい。製品の競争力を維持するため、大手は今後も高炉を柱と位置づけ、環境技術の開発を急ぐ。その中心は石炭を水素に置き換えることだそうだ。これによって、CO2の排出量を3割へらせるらしい。30年頃の実用化を目指しているようだが、それでは脱石炭の動きについていけない可能性もある。環境対応を評価する投資が増えているだけに、もう少し迅速な対応が必要かもしれない。