効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

VPP(仮想発電所)への蓄電池利用の実証

エリーパワーは某銀行の副社長をしていた方が始めた蓄電池製造のベンチャーだが、いろいろと先進的な取り組みをするので、いつも興味を持っている。ここが新聞発表したことだが、、蓄電池のマルチユース化を進めるため、東京電力ホールディングス(東電HD/東京都千代田区)や関西電力関西電力大阪府大阪市)など国内9社と連携し、大規模なバーチャルパワープラント(VPP)構築実証試験を、10月後半より開始すると発表した。具体的には、上位で統合制御するアグリゲーションコーディネーター(AC)の基幹システムからの指令に基づき、9社400台超と一般家庭最大80棟に設置された、合計約500台(蓄電容量1.6MWh/出力780kW相当)の蓄電池の充放電制御をエリーパワーが行う。また、同じ建物内に分散して設置された可搬型蓄電システム数百台(大和ハウス工業大阪本社ビルに200台、東京本社ビルに100台)の同時制御も行う。大和ハウスはエリーパワーの大株主だ。アグリゲーターというのは、分散した電源の稼働状況を一括して制御する事業者だが、分散型電源を効率よく稼働させて系統を安定させるのには不可欠な存在だ。この実証実験プロジェクトにおいて、エリーパワーは需要家とVPPサービス契約を直接締結してリソース制御を行うリソースアグリゲーター(RA)として参加する。また、東電HDと関西電力は、それぞれACとして参加する。実証期間は、2019年2月後半までの予定だと報じられている。エリーパワーはこの実証試験を通して、従来のBCP(事業継続プログラム)対策による蓄電池の役割だけでなく、VPPによる蓄電池の多用途化も進めていくという。報道で説明されているが、VPPは、分散化された電源をIoT技術などの高度なエネルギーマネージメント技術を使って統合制御することで、あたかも一つの発電所のように機能させる仕組みだ。蓄電池を遠隔でコントロールし、電力逼迫時には放電、電力余剰時には蓄電を行うことで、電力の需給バランスを調整する。
アグリゲーターがある特定地域内にある多数の電源(蓄電池、燃料電池コージェネレーション、体制可能エネルギーなど)を一括して制御できるようにして、外部の電力系統と電力をやりとりする時代がすぐ到来するだろう。そうなると、広域停電も起こりにくくなる。蓄電池も家庭用から大型のものまで開発されているが、これを連携させる制御技術はまだ開発途上にある。この先駆けをこの会社は始めたわけで、自社製品の市場を開拓する意味も大きい筈だ。テスラ社の家庭用蓄電池パワーウオールと肩を並べて分散型エネルギーの時代の花を咲かせて欲しいものだ。