東芝エネルギーシステムズは、IoTを用いて複数の蓄電池を最適に制御するバーチャル・パワープラント(VPP:仮想発電所)運用サービスを、2019年1月1日から開始する。また、それに伴い東京電力エナジーパートナーと横浜市内に設置する蓄電池の運用に関する業務委託契約を締結した、と報じられている。この蓄電池は東芝製。横浜市の支援で設置されているのだろう。
東芝エネルギーシステムズは今回の契約において、横浜市内の11校の小学校に設置された約15kWhの蓄電池を対象に、非常時に必要な電力を確保しながら、電力系統と蓄電池の状況に応じて、ピークカットやデマンドレスポンスを効率的に運用するための蓄電池群制御を行う。横浜市内の小学校にこれだけの数の蓄電池が設置されているのはかなりのものだ。多分この対象となる全ての小学校の屋根に太陽光発電設備が設置されているのだろう。かなり昔、ある市で小学校の屋根への設置を提案したら、安全性が保証されないとして教育委員会から反対があり、実現しなかったことを思い出した。
VPPの活用により、太陽光発電、蓄電池、電気自動車(EV)、水素など地域に散在する複数の発電・蓄電設備を束ねてIoTにより制御し、一つの発電所のような機能を持たせることで電力網の需給バランス最適化に寄与することが期待されている。今回の取り組みは、こうした分散型電源の普及という背景や再エネ普及の観点から実施されるものだ。東芝は、2016年から2年間、横浜市と東京電力エナジーパートナーと共にVPPの構築に向けた実証事業を実施し、複数の蓄電池を効果的に制御する蓄電池群の制御技術を開発した。その実証事業の実績やデマンドレスポンスに関する取り組みが評価され、今回の契約に至ったとしている。東電はこの系統安定化に対してのアンシラリーサービス料をどれほど払うのかも知りたいところだ。