大阪市は市の公共施設を活用してVPP(仮想発電所)事業に取り組むための検討に入ったという。大阪府と大阪市が連携して取り組む電力需要の平準化と電力供給の安定化を実現する取り組みの一環で、学校や公園といった市が所有する施設をVPPに組み込んで活用できるかを検討するということだ。北海道のブラックアウトと関係して始まったわけではないのは確かだが、いずれは大阪湾に押し寄せる可能性がある津波や地震への対応としての意味はあるだろう。VPPの内容は必ずしも一義的に説明できないところがある。都会であれば太陽光発電と蓄電池の組み合わせに加えて、特定地域の大口電力消費事業を情報ネットワークで結んで、電力需要の制御ができるようにするというのも含まれる。その大口電力消費事業者は、少なくとも重要設備が、周辺が停電しても機能を維持できるだけの自家発電設備を持っていることが望ましい。いま大阪市庁舎にも非常用自家発電はあるだろうが、常用発電機がある方が停電への対応としては優れている。また、大型ビルの空調も情報ネットワークで連携させて、今後太陽光発電が増えて昼に発電量が急速に伸びて、電力需要を高めて余剰分を消費する必要があるときには、冷房温度を低くするなどして電力消費を増やすようにするのもVPPの一つになる。米国では実用化しているが、家庭用の電力消費の制御や増強もできるようにするなどして、全部を取りまとめて制御することによって、小型の発電所と同じような効果を出すものだが、大阪市には大型の公共施設が多いことから、自らVPPの構築に乗り出したのだろう。家庭用燃料電池も含めたコージェネレーションも重要な位置を占めるはずだ。この事業で期待する結果が出れば、対象を拡大する施策を打ち出すようになるのだろうと思っている。