つい10年ほど前まで、風力発電の出力は1,000kWにまで行かなかったが、最近急速に大きくなっている。特に風が豊富な洋上風力発電の実用化と共に大型化が進んでいる。三菱重工業や独シーメンスなどは世界最大となる出力1万キロワット超の洋上風力発電機を実用化すると報じられている。世界で洋上風力の電力買い取り価格がここ数年で3分の1に下落する中、超大型化で建設コストを引き下げる。世界の洋上風力発電の合計発電容量は約1900万キロワット。太陽光発電の約5%、陸上風力の約3%にとどまるが、超大型化によって採算が改善すれば、世界で導入が加速すると期待されている。出力が大きくなれば、洋上ウインドファームの規模が変わらなければ、一基の出力が大きくなれば設置基数を減らすことが出来て、設置コストを大きく下げることが出来る。三菱重工とヴェスタス(デンマーク)の合弁で、洋上風力発電機で世界2位のMHIヴェスタスは、2017年に世界最大の出力9500キロワット機を開発、すでに約260万キロワット分を受注している。一万キロワットも開発済みで、2020年にも実用化する。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は4億ドル(約440億円)を投じ、1万2000キロワット機の開発を進め、21年にも販売を開始する。同首位のシーメンスとスペイン大手ガメサの合弁会社は、24〜25年までに出力1万キロワット超の次世代機を開発する方針を明らかにしている。最大能力は13年の3000キロワットから17年には9000キロワット前後と3年で3倍に増えたという。日本国内では風力発電の設置が遅々として進まないが、促進を妨げている要因を減らす努力を政府が行えば、洋上風力発電の開発余地は大きいはずだ。ただ、接続系統容量の増強にもコストがかかることは否めないのだが。