効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

大型化する風力発電

シーメンス2020年代前半に、出力1万キロワット以上の洋上風力発電機を発売する方針を決めたと報じられている。出力が現在の主力機種の1.5倍以上の大型機を洋上に並べて大規模な風力発電所をつくり、原子力や火力を代替する狙いだ。GEも同じ方向に向かっているらしい。現在で最大規模のものは7千キロワット前後のはずだから、いかに洋上とはいえ、設置やメンテの難度は従来の比ではないだろうから解決すべき課題も多いだろう。三菱重工とヴェスタス(デンマーク)が折半出資するMHIヴェスタス(同)は、現時点で世界最大の風力発電機(出力9500キロワット)を開発済みだが、さらに大型化を進める。日立製作所も大型機を開発する方針だ。現時点で具体化しているシーメンスのプロジェクトは1月に建設が始まり、同社が7000キロワットの風力発電機を174基納める英国の洋上風力発電所の出力は合計約120万キロワット。これを報道では原子力発電一基分に相当するとしているが、これは妥当な比較ではないだろう。風力発電がフルに稼働することはほとんどないからだ。だが、このような規模にウインドファームが距離を置いて幾つか設置されれば、風が広域で止まってしまうことは殆どないから、発電量の平滑化が実現する。これはカリフォルニアの風力発電の発電量の変化を示すグラフを見ても分かる。太陽光は昼だけ急速に立ち上がるが、風力発電はほぼフラットで変化している。離れたウインドファームが同じ系統に繋がっていると、変動を相互に補償し合うから、変動性と安定性を兼ね備えたものの規模が大きくなることになる。欧州では風力の発電コストは原発より安くなっているから、変動するという弱点が少なくなれば、信頼できる安い電源が生まれることになる。沿岸線の長い日本でも、このような大規模プロジェクトが成立するような条件、例えば送電線容量の増強、規制の適正化、といったものを整備する必要があろう。