効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

自動車での回生電力利用

アウディが発表したものによると、米コロラド州のパイクスピーク山で、電気自動車のSUV「e-Tron」の下り坂走行試験を行い、エネルギー回生システムにより31kmの下り坂走行で回収したエネルギーは、ほぼ同等の距離を走るエネルギーに相当したという。他社のハイブリッド自動車や電気自動車でも、ブレーキをかける時に車軸に連動する発電機を回すことによって電気として回収する方式は採用されている。しかし、今回のケースでは、アクセルを緩めることによって回生電力が発生できるシステムを採用し、その発電量を数段階に分ける、ということは、アクセルを緩めると即座に回生電力によってブレーキがかかるようになっているらしい。e-Tronのプロトタイプは下り坂において、最大トルク300N・m、最高出力220kWのモーターで走行エネルギーの70%を回生したようで、これまでの量産EVを上回る回生率だという。高効率の回生システムを使うことで航続距離(1回の充電で走行できる距離)が最大30%延びると見ている。このシステムには、二つのモーターと電動油圧式ブレーキ制御システムが含まれ、三つの異なる回生モードを組み合わせたという。回生モードは、パドルシフトを使った惰性走行での手動回生、予測効率アシスト機能を使った惰性走行時の自動回生、モーターと油圧式ブレーキをスムーズに切り替えるブレーキ回生の三つ。0.3Gまでのブレーキペダルを踏んでいない減速時にもモーターで回生するため、通常運転で減速時の90%以上で回生することになるということだ。ドライバーはステアリングパドルを使って3つの回生レベルを選択できる。最も回生率の少ないレベルでは、アクセルペダルから足を離したときに回生の抗力トルクなしに惰性走行する。回生率が高いレベルでは、アクセルを緩めたときにエネルギー回生して速度を急激に低下させる。これによりアクセルペダルのみで加減速が可能となり、ブレーキペダルを使用する回数が減るとのことだ。ブレーキペダルは油圧システムから切り離されており、どの減速機能を使うかは電子制御で決まる。モーターからホイールブレーキへの減速機能の移行はドライバーが気づかないほどスムーズに行われるという。電気自動車の航続距離が30%伸びるのが標準化すれば、自動車のエネルギー消費が大幅に抑制でき、電気切れの不安も低くなると期待できる。他社にもこの技術を移管できるような事業にしてほしいものだ。