効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

京セラの開発したLED

京セラは、海中の光を正確に再現できる発光ダイオード(LED)照明を開発している。水深によって異なる太陽光を忠実に再現し、水槽内のサンゴや水草の生育を助けることができる。7月26日の発表では、8月中旬に水槽用の製品を発売し、年内に水族館用の大型製品を投入するということだった。サンゴや水草が生育する水槽にはメタルハライドランプや水銀灯が使われることが多いそうだが、2020年には「水銀に関する水俣条約」が施行され、生産をやめる企業が出る見通しで、LED照明への置き換えも一部で進むが、太陽光の波長を正確に再現できず、サンゴや水草がうまく育たない問題があったと報じられている。同社は、水深で太陽光の波長がどのように変わるか調べるためフィリピンの海に潜って調査し、赤や緑、青の蛍光体の配分を変えて海中の光を再現した。一般的なLED照明は青や緑の光源を組み合わせるため、場所によって色ムラができる。これに対して京セラの新製品は1つの光源で太陽光に近い光を出すことが可能で、色ムラができない。サンゴや水草に満遍なく太陽光に近い光が当たり、光合成できるという。静岡大学の実験では従来のLED照明と比べ、サンゴが大きく成長した。新製品は「サンゴのストレスが少なく、長期の飼育に適している」(静岡大学のカサレト・ベアトリス教授)という。新江ノ島水族館でも水草が育つことを確認したそうだ。
この製品コストが下がれば、環境の変化で生育に障害が出ている珊瑚礁の再生にも利用できないだろうか。これには必ず電源が必要だが、波力や潮流を利用した発電などを利用すれば、LEDの消費電力は少ないから海水温度を上げることもないだろう。海藻の人工増殖にも利用できるかも知れない。これまで京セラのLED照明事業は手術室用や自動車塗装検査用などの企業向けが大半で、足元の売上高は数億円にとどまる。これを2023年度には100億円に引き上げることを目指すということだが、応用範囲はもっと広いという感じがする。ただ、海中に設置するのが生態系に悪影響が出ないか、慎重に取り組まなければならないことは確かだが。