東京電力ホールディングスは13日、事前に契約して電気代を割り引く代わりに工場などに数時間単位で節電してもらう「ネガワット取引」を発動したと報じられている。これは昔からある料金体系の一つで、大口消費の工場などに、指令があれば工場の操業を落として電力消費を抑えるという条件を了解すれば、電気料金を大幅に安くするというものを今回実行したと言うことだ。いま柏崎刈羽原発も稼働していないので、需要が増えれば石油・LNG火力を稼働して対応せざるを得ず、それだけ燃料コストが増えるのを、需要を何とか抑制しようとしたものだ。小売会社の東京電力エナジーパートナー(EP)が13日午後、国内初の平時のネガワット取引を企業に要請した。同日は首都圏の気温が上昇し、電力需要が高まっていた。ネガワットを求めた時間帯は午後4〜7時の3時間で、工場など40施設が対象となったとのこと。今日は工場の操業はしていないところもあるだろうから、その必要はないだろうが、気温が高い中で燃料費抑制というためなら案外発動するかも知れない。ネガワットを実施した時間帯は日が沈み始めて太陽光の発電量が落ちるころで、電力需要は石油火力発電を稼働させる必要がある水準となり、コストの高い火力発電設備の稼働を減らすためだ。原発は燃料費が設備費に組み込まれているので顕在化しない。
欧米では、工場などの大口だけでなく、一般の家庭用・業務用の電力も指示があれば電気の使用を減らすシステム、デマンドサイド・マネジメント、が進展しているが、日本でも検討はされている。いずれ日本でもこれを広く具体化する必要があるが、そのための制御システムと料金体系を整備しなくてはならない。