効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

国際連系線

このほど、孫 正義氏が設立した自然エネルギー財団が、アジア国際送電網研究会第二次報告書を発表した。いわゆる先進国の中で電力の取引を国際的に行っていないのは日本だけだろう。それを日本の隣接国と国際連系線で電力網を結び、電力の輸出入ができるようにしようという構想に向けた研究だ。この研究会は2016年7月に設立されている。この報告書が述べているように、国際連系を通して電力の貿易を行うことは、極めて経済合理的であり、かつ自然エネルギーが大量導入される時代の安定供給の重要な手段となるはずだ。英国も含めた欧州諸国間では電力網が相互に結ばれており、英国と欧州大陸とは高圧直流連系線が何本も走っている。英国とアイスランドも海底高圧直流連系の計画もあるはずだ。北米ではカナダが米国に大量の電力を輸出している。米国とメキシコも結ばれている。そのような状況の中で、日本は電力の大消費国でありながら近くの国とは電力網が結ばれていない。これを打開しようとするのがこの研究会の目的のようだ。東南アジアの問題は、国際的な政治対立が大きく、特に中国、ロシアと折り合えない日本にとって、国際連系線の設置は大きな課題となる。しかし、最近の情勢から見ると、今から具体的な検討をしておかなければ、日本だけ孤立する可能性もある。韓国のムン・ジェイイン大統領は自然エネルギーの推進の観点から電力の輸出入に積極的だとされ、ますます日本は孤立する方向にある。日本国内で隣国と電力の輸出入をする機運がもっと高まってほしいと思っている。この報告書では、ロシア、韓国との接続についてコストも含めてかなり詳しい検討を行っているが、これが政府ベースでも行われる機運をもたらしてほしいものだ。