効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

脱原発のドイツ

ドイツの連立与党が30日未明(日本時間同日午前)、2022年までに脱原子力を目指す方針で合意した。主要国で初めて脱原子力を明確に打ち出した。日本であれば即電力供給に支障を来すことになるが、欧州各国は全部太い系統で相互に結ばれているために、隣接国から安い順に電力を輸入できるから、供給自体には支障が出ない。今日自分が元居た会社の退職者が会員である組織の総会が大阪の国際会議場であって2千人ほどの人が集まったが、そこで聞かれたことは、ドイツは原発をやめるといっても、隣のフランスから原発で発電した電力を輸入するのだから、本当の意味で脱原発にはならないのではないか、ということだった。確かにそのとおりだが、フランスは輸出が出来なければ原子力発電の稼動レベルを安定的に維持することができないのだし、フランス以外の国からの電力も入るし、これから洋上風力が増えれば、長期的に脱原発に向かうことは確かだろう。
ドイツが洋上風力の出力変動を自国だけで吸収しようとすれば、どうしても天然ガス火力発電設備を増設して対応しなければならない。しかし、おそらくノルウェーなどと系統を結ぶ容量を増やして、そこの水力発電設備を変動吸収のソースにすることを考えるだろう。すでにそのような方針を英国が出している。さらに言えば、ドイツが本当に脱原発としてフランスからの電力輸入を引き下げるような方針を出したら、フランスは大いに困ることになる。
ただ、洋上風力発電設備の設置にはかなりの年数が必要だから、過渡的にドイツのCO2排出量は増えることになるだろう。だが、日本のように原発が一部止まるだけで供給力不足にはならないことは知っておく必要がある。