効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

シート状の潜熱蓄熱材

エネルギー利用の効率化に貢献する可能性が高い素材が開発されたようだ。DICが開発した蓄熱シートで、自然エネルギーを利用して吸放熱し、快適な室温の維持に貢献する蓄熱建材(パッシブ蓄熱建材)として同社が開発した製品。新化学技術推進協会(JACI)の「第17回グリーン・サステイナブルケミストリー(GSC)賞 奨励賞」を受賞した。今回の受賞は、同製品の蓄熱性と施工性の両立が高く評価されたことによる。報道によると、従来からある潜熱蓄熱材は、固体・液体間での相転移時の温度特性を利用した材料であり、融点以上の温度では液状化する。そのためラミネートパッケージ化した材料が建材用にも使用されているが、サイズ変更の困難さや施工時の作業性の悪さから、住宅メーカーや工務店は新しい材料の開発を求めていた。同社は、独自の塗工技術と配合技術により、潜熱蓄熱材料を劣化させることなく樹脂に均一に配合し、厚膜で塗工成形する技術を確立することで、蓄熱材料の漏出を抑えたシートの開発に成功したのだ。従来は難しかった施工現場での切断や曲げ、ネジ止めなどが可能となり、施工作業性の大幅な改善が期待できるようになった。また、石膏ボードや床材といった一般建材と予め組み合わせることも容易になり、従来難しかった壁や天井への施工も可能。設備内への貼付のみで定温輸送分野における温度変動を抑制したり、農業分野でトマトやイチゴの栽培に応用することで収率や糖度を向上させるという実験などを実施している。今後、同製品の軽量化が実現すれば電気自動車(EV)などへの採用も可能となり、冷暖房エネルギーの削減が期待できるという。使用可能な温度範囲があるだろうが。