効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

より小さなエネルギーで冷熱を貯める

NEDO新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実用化ドキュメントとして発表したものから、冷房用の電力使用のピークを下げ、全体の効率を上げるために行われている氷蓄熱システムの性能をさらに向上させる技術が開発されたということを知った。氷として冷熱を蓄熱するのは水を摂氏0度以下にする必要があるが、そのためにはマイナス5度以下という冷熱をまず作り出す必要があり、それに要するエネルギーが大きかった。氷よりも高い温度で蓄熱をする物質を利用すれば、エネルギー消費も少なくて済み、エネルギー効率も上がることになる。
JFEエンジニアリング社が、そのような「水和物スラリー」(商品名「ネオホワイト」)を開発したそうだ。水和物スラリーは、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAB)という口をかみそうな名前だが、水分子で包まれた構造をした固体と液体の混ざり合った流体で、同じ質量、同じ温度の水と比べて、2倍以上の冷熱を蓄えることができるという。つまり、同じ温度の水よりも2倍以上の時間、冷たさを保つことができるわけだ。水和物スラリーが液体からスラリーになる時の温度は摂氏6〜12度くらいということだから、冷房に使うのには問題なく、また水のように0度以下にするための冷却も不要になる。面白いう物質を商品化したものだ。亜熱帯に属する日本には極めて有効な空調技術となるだろう。欧米先進国だけでなく、これから空調市場が拡がる開発途上国にも売れるのではないだろうか。この記事だけ見ると、水よりコストは高いだろうが、効率が上がることで十分商品としての競争力はあるだろう。
同じようなもので温熱を水より効率よく保存し、蓄熱容量が大きい液体があると聞くが、この水和物は7〜80度の温度のエネルギーを保存する能力は水より大きくならないだろうか。エネルギー消費量としてはずっと大きい暖房・給湯の熱負荷の平均化もできるとすれば面白いなと思った。