効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

アンモニアで駆動する燃料電池

報道によると、IHIアンモニアをエネルギー源として作動する1kWクラスの固体酸化物燃料電池SOFC)の開発に成功した。今回の成果をもとに、業務・産業用途に向けてシステムの大型化に取り組む方針だという。これまでSOFCというと天然ガスを燃料とするものしか実用のものはなかった。よく知られているのは700ワットの発電をする家庭用のエネファーム Type-Sだ。昨年から数キロワットから数百キロワット規模の業務用SOFCが商品化され、販売も開始されているが、まだ価格が高いために補助金なしには売れない状況にある。SOFC発電効率は高く、排熱も利用すれば80%を超える総合熱効率を発揮するが、地球温暖化ガスであるCO2の排出は、燃料に天然ガス(主成分はメタン)を使うために避けられない。エネルギーの消費目的に対応しないCO2排出比率が低いということが評価されるだけだ。だが、この燃料がアンモニア(NH3)ということだと、その成分は窒素と水素で、炭素を含まないために、発電後に排出される燃焼ガスにCO2は出てこない。純水素を燃料とするものと同じで、温暖化ガスは含まれない。そして、水素含有量が多く、液化・運搬・貯蔵も容易だし、既に肥料や化学原料として流通しているため、輸送インフラが既に整っているといった利点がある。既存の天然ガス燃料電池との競合がどのようになるだろうか。