効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

エネルギー情勢懇談会提言

これまで数回にわたって開催されていたエネルギー情勢懇談会が最終の会合を終えて、10日付けで結論としての提言を出している。2050年のエネルギー戦略に関するシナリオを政府が策定する一助となるものだ。その最初に述べられているのが、論点を取りまとめるにあたって踏まえたものとして示した3つの前提だ。まず、第一に、福島第一原発事故が原点であるという姿勢は一貫して変わらないということ。そして、第二に、現在のエネルギー基本計画は2030年を目途としたものであり、策定から4年が経過したが、この間の変化は可能性と不確実性の双方を高めているという理解。第三として、戦後一貫したエネルギー選択の思想はエネルギーの自立であり、膨大なエネルギーコストを抑制し、エネルギーの海外依存構造を変えるというエネルギー自立路線は不変の要請であるという認識だ。これに続いて、脱炭素化に向けた技術間競争が始まっているという世界情勢が述べられているが、これまでエネルギー技術という場合、欧米の技術を論じていたものが、中国が持つ再生可能エネルギー原子力発電の技術に負けないようにという論調になっているのが目についた。日本がエネルギー自立を達成するために、エネルギー技術の革新が必要なのは論を待たないが、再エネの導入が急速で、原発の建設も進展している中国に、日本のエネルギー自立が阻害されるのではないか、技術輸出が進まなくなるのではないかという危機感が述べられていることもこれまでと異なったものだ。また、エネルギーとしても電力だけでなく、熱や輸送といった側面も論じられている。この内容がこれから作られる政府の戦略にどのように取り入れられるかを見守っていく必要があるだろう。