効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

大阪市など、地盤沈下抑制の副作用

昭和30年代後半、大阪などの大都市圏では、工業用水に使う地下水のくみ上げなどで地盤沈下が起こり、大きな社会問題になった。しかし、取水が制限され、半世紀近く変動がほとんどない状態が続いていて、地盤沈下は昔話として語られるだけになっている。市の地盤沈下の変化の推移をみると、ほぼ横ばい。地下水位の経年変化を見ると、地盤沈下が収まった昭和40年ごろから逆に、ほぼ右肩上がりで上昇し続けている。これが悩ましい問題になっているという。大阪平野の地盤は、砂や小石からなる層と粘土層が交互に重なって構成されている。粘土層は水を通しにくく、砂の層には水が流れている。粘土層に挟まれた帯水層と呼ばれる砂の層から水をくみ上げると水圧が低下し、粘土層が収縮、地表面が沈下してしまう。かつての地盤沈下は過剰な取水によって生じた。規制によって大量の取水はできなくなったが、「地下水面」といわれる井戸の水位が副作用のように上がってきた。この状況の何が問題なのか。砂の層に多くの水が滞留していると、地盤が液状化しやすく、大地震が起きれば、建物に大きな被害が出かねないと専門家が指摘する。ほかにも、水圧の上昇で地下に設けた構造物が浮き上がってしまう、地盤が隆起する、地下の工事で水が噴出する、といった問題が起きているという。ある程度の地盤沈下を甘受しながら地下水位が上昇しないよう管理している地域があるという。阪神大震災で大きな液状化被害を受けた尼崎市の築地地区。地下の水位が上がるとポンプが作動し、水を排出する装置を設けている。大地震が起きて津波が襲うことが最近強調されている。しかし、地震そのもので被害が拡大する可能性もあるということだろう。地下水の管理は難しい課題だろうが、行政としても対応が求められることだろう。