家庭用燃料電池のエネファームには、固体高分子電解質のものと固体酸化物電解質のものがあり、後者の方が発電効率が高く、エネファーム・タイプSと呼ばれている。タイプSは京セラが開発したセルスタックを使用し、それを大阪ガスとアイシン精機が協力してユニットに仕上げたもので、一昨年から市販されている。このほど大阪ガスはタイプSの新製品がこの4月から発売されると発表した。発電出力は700ワットで発電効率はこれまでのものより1.5%高く、53.5%となっている。同社によれば、このクラスでは世界最高効率だそうだ。家庭用の燃料電池が実用化されているのは日本だけだから、日本最高が世界最高を意味する。発電ユニットに、排熱を回収して給湯暖房に使えるようにするシステムを一緒にしたものと、既存の給湯暖房設備に発電ユニットを結ぶ方式もある。固体高分子電解質型は特殊なプラスチック膜を使っているが、固体酸化物はセラミック。作動温度は後者の方が高い。固体高分子型は2009年から市販されているが、固体酸化物型は2006年に商品化されてから日が浅い。両者を合わせた国内販売累計は昨年末頃に20万台を超えた。その内8万台が大阪ガスの販売。東京ガスが9万台。両タイプ共に発電効率が高く、排熱回収をすると80%を超える総合効率を実現している。大気汚染物質もほとんど出さないので、政府も強力に支援する補助金を準備している。まだ価格が高いが、今後の製造コストの削減に期待したい。大阪ガスの新製品は、スマートスピーカーで制御できるとのこと。IoTの世界を取り込んだようだ。