太陽光発電など天候の影響をもろに受けるものからの出力電力は常に変動している。その変動が早い場合、その変動を抑制するのは従来からの火力発電、それも天然ガスを燃料とするものが主力になる。石炭火力や原発は出力変動をさせること自体が難しい。その天然ガス火力の主流はガスタービンによる発電になるが、ガスエンジンに比べると変動への対応速度が遅いため、何か他の方法と組み合わせることも必要になる。だが、このほど、川崎重工業が急な電力需要に対応できる発電用ガスタービンを開発したと報じられている。停止した状態から最高出力までの時間を従来の半分の約5分にしたというから大幅な性能向上だ。これならば蓄電システムに依存しなくても変動対応できるケースが増えるだろう。試作機は事業所や工場での利用に適した出力3万キロワットで、既存のガスタービンを改良し、燃焼室へガスを送り込む量を素早く調節する工夫などをしたということだ。工場で使えば、電力供給が不安定な時も生産ラインを動かせるし、再生エネが普及しても電力を安定供給できるだろう。発電効率の高いコンバインドサイクル発電に使ってもこの柔軟性が発揮できるかどうか分からないが、停止状態からのスタートならタービンによる発電だけがまず起動するから問題はないし、稼働中で出力を変動させるのもタービン軸に繋がる発電機の出力を柔軟に変動させることは十分出来るだろう。再エネの普及を助ける技術開発だ。