効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

事業向け固体酸化物電解質燃料電池

三菱重工業は1日、固体酸化物型燃料電池(SOFC)とマイクロガスタービン(MGT)を組み合わせた200キロワット級複合型(コンバインドサイクル)発電システムで、国内最長となる3千時間の運転を達成したと発表した。同社長崎造船所(長崎市)で開発を進めていたもので、これまでに最大出力229キロワット、発電効率でも52・1%(送電端ベース、LHV)を達成していた。今回、3千時間運転を達成したことで、耐久性と信頼性を実証できたとしている。
同社のSOFCの構造はユニークだと思い、また、これが耐久性を実現できれば商工業向け、電力事業向けの大型高効率発電設備になるだろうと考えていた。セルの作動電圧が摂氏900度で、都市ガス(天然ガス)から水素を作って発電するが、一酸化炭素もそのまま燃料となるので設備も簡単となる。燃料電池で全部燃料が消費されるわけではないので、残りを使ってマイクロガスタービンを回してそれに繋がった発電機でも発電する。これが複合型といわれる所以だ。確か加圧したシステムではなかったか。将来は石炭をガス化して燃料とすることも可能となるだろう。実用化に向けてその一歩を踏み出したことは素晴らしい。今後はコンパクト化を図るほか、事業用発電システムの実機開発につなげるということだ。また、08年からトヨタ自動車のMGTと三菱重工のSOFCを組み合わせた業務用、産業用のハイブリッドシステムの開発も進めていると報じられている。トヨタ自動車の全額出資子会社でトヨタタービン アンド システムズというメーカーがマイクロガスタービンを製造しているが、ここと組むというのは面白い。どのような事業用システムが出てくるか楽しみだ。
柔軟性のある出力制御もできるはずだから、これから普及する太陽光発電の出力変動を変電所単位で吸収するのにも使えるのではないか。コスト次第だが、蓄電池を使うのとどちらが良いだろうか。排気ガスがきれいだから、都市部での運転にも向いている。いままで家庭用レベルの1キロワットクラスの商品化しか発表されていなかったが、3000時間がもう一桁上がって3万時間となるのは、SOFCの場合PEFC(固体高分子型)よりも達成しやすいかもしれない。