効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

天然ガス火力の柔軟性

東京電力鹿島火力発電所に緊急設置電源を合計80万4千キロワット建設するという。米国のGE製、単機出力26万8千キロワットの1300度級ガスタービン発電設備3台で、2012年7月に運転を開始する予定というから、自分が理解していたよりも早い。しかも数年後にはコンバインドサイクルにして発電効率を上げるよう改修する計画。既設の発電所への増設だからこのように短期で決着できるのだろう。新規立地では申請手続きもあってこのような芸当はできないかもしれない。鹿島火力は石油火力だが、燃料の天然ガス東京ガスが建設中の高圧導管「千葉〜鹿島ライン」を4キロメートル延伸して供給する。延伸部分は東京電力が工事費を負担する。
さらに同じ時期に、千葉火力が三菱重工ガスタービン33万4千キロワットを一台追加設置するのが運開する。今夏に設置する2台とあわせてコンバインドサイクル化する。2013年2月に運開予定の川崎火力2号系列1軸50万キロワットが2012年夏には試運転入りできるよう建設を加速する。
天然ガスの使用が増えるのは不可避だが、ガスタービン火力の緊急対応能力の高さが証明されている。いま東京電力管内の人、企業が行っている節電努力と併せると、来年夏のピークは何とか乗り切れるようだ。今年については気温次第とはいえ、何とか乗り切れるのではないか。
原発比率が高い関西電力はまだこのような対応策を発表していない。いまの世論から見ると定期点検に入った原発が簡単に再稼働できそうもないから、天然ガス火力の増設を検討すべきだろうと思う。ガスタービンは製造にもそれほど時間を要しないから、緊急避難として早めに手を打つ方が安全だろう。天然ガス価格がこれから上がることも考えられるが、コンバインドサイクルにすればCO2の排出量も抑制できるから、環境対応としても望ましいものだ。
ガスタービン火力発電設備の建設期間の短かさを事実で知ることができた。