効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ウナギの完全養殖が事業として成功するか

近鉄難波駅へ下りてゆく階段の上に、近畿大学の広告があって、それに大きなマグロに絵が描かれている。マグロの卵から成魚にする完全養殖に成功した大学と知られているのを前面に押し出したものだ。マグロと同じように卵からの完全養殖がこれまで事業として成功していなかったものにウナギがある。ウナギの養殖事業は盛んだが、全て稚魚を海で採取して育てているのであり、その稚魚が最近少なくなったために養殖事業そのものが難しくなっている。これがもう数年すると解消されるかも知れないと今日知った。医薬品動物試験受託大手の新日本科学は、ウナギの養殖に使う稚魚(シラスウナギ)の新しい人工生産技術の開発に成功したとのこと。卵から成魚まで育てる完全養殖は、日本や韓国の研究機関が技術的に成功しているものの、コストが高く商業化できていない。卵から半年かけてシラスウナギに育てるまでが難しいという。マグロも同じ過程を辿っている。同社が開発したのは循環型の育種システム。飼育に地下水を使い、ろ過して再利用する。海水と異なりウイルスなど病原体の混入が防げるため稚魚の生存率が高まるようだ。地熱を使った管理システムで水温を26〜28度に保てるため、ウナギの養殖で大きな負担になる燃料費をほぼゼロにできる。現在は30万個取れる受精卵のほぼすべてがふ化できているが、ふ化して30日後までの生存率が7割程度。受精卵からシラスウナギへの生育率は1%に満たない。10%以上に引き上げれば商業化の見通しが立つため、アブラツノザメの卵などを使っているえさの改良のほか、水槽の形状、水質や水流の調整などをさらに徹底して、生育率を引き上げる方針だと報じられている。10%まで引き上げるのは容易ではないだろうが、日本の食文化維持のためにも頑張ってほしいものだ。