効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

炭素が触媒として白金に代替

いろいろな化学プロセスで白金(プラチナ)が触媒として使われている。この価格が高いために、全体のシステムコストが下がりにくい。これが燃料電池について典型的に言えることだ。固体高分子電解質燃料電池の中核となるセルの発電部分の重要素材だから、このコスト引き下げに世界が取り組んでいる。そこへ重要な技術開発がなされたようだ。白金(プラチナ)触媒を炭素材料で代替する新技術が実用化されたということだ。貴重な白金の使用量を約80%削減できるというもので、群馬大学の尾崎純一教授らの成果をもとに日清紡ホールディングスが商品化し、カナダの燃料電池大手であるバラード・パワー・システムズが採用を決めたと報じられている。1994年に開発した「カーボンナノシェル触媒」は、燃料電池の負極に付ける白金の代わりとなる面白い性質を備えている。何層も重なった中空の殻で、直径が約20ナノ(ナノは10億分の1)メートルのときに一番高い効果を示すとのことだ。自動車用燃料電池では、触媒にかかるコストを30年ごろに現在の4分の1程度に下げるという目標が掲げられている。この炭素を使った触媒のコストはまだ白金とあまり違わないが、大量生産が可能で、そうなれば目標は実現できるだろう。それを見込んで燃料電池大手のバラードが導入したのだろう。化学プロセスへの応用も期待される。