固体高分子型燃料電池には触媒として高価な白金が使用されている。発電性能を落とさずに単位当たりの使用量が下がれば、燃料電池のコストを引き下げるのに大きく貢献することになる。この白金量削減には日本は勿論だが米国などの研究機関で強力に推進されているが、なかなかその成果が出ていなかった。だが、具体的な成果に結びつくかどうかはまだ分からないが、信州大学が白金の使用量を10分の1以下にする新技術を開発したと発表している。レアメタル(希少金属)のルテニウムからなる、表面積を広げて反応活性を高めた触媒素材と組み合わせる方式だそうだ。使用する白金の量を減らせるほか、白金触媒の耐久性も上がるとのこと。新技術を使うと白金触媒の耐久性・活性が上がる。ただ「高性能化の科学的な原因究明を優先した」(信州大)といい、今後は量産化への対応を探るという。
家庭用燃料電池で固体高分子電解質を使った700ワットクラスのエネファームの価格はまだ100万円を大きく超えているため、政府の補助金があっても急速な普及はなかなか難しい。このタイプの燃料電池は自動車用にも使われるから、新技術での量産化に成功すれば、普及を大きく促進するだろう。家庭用の燃料電池の設置が進展しているのは日本だけといっても良いほどだから、是非商品化成功の先頭を走ってほしいものだ。