効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

トランプ米国大統領のエネルギー規制緩和

トランプ米大統領が28日、地球温暖化対策の規制見直しを指示する大統領令に署名した。選挙戦の公約の中にも入っているから、この方向に動くのは当然だろうが、その実効性がどのようになるかは、各州の動きも含めて暫く様子を見る必要があるだろう。これは以前にもここで述べたことだ。低迷する支持率の回復を狙った苦肉の策だとも言える。今回、見直し命令の最大の標的となったのはオバマ前政権が打ち出した「クリーンパワー計画」だ。同計画は米国内の火力発電所二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに05年比で32%削減するよう義務づけている。達成にはCO2排出が多い老朽石炭火力の閉鎖が不可欠で、トランプ氏は規制撤廃により、石炭産出州の雇用維持と景気回復が見込めるとした。温暖化対策の撤回は保守派の支持が強く、雇用回復への期待も高いとされるが、シェールオイル、ガスの生産が増える中で、どこまで効果を発揮するだろうか。また、クリーンパワー計画はオバマ氏が15年8月に発表したが、反対する27州が提訴し、2016年2月に連邦最高裁が一時差し止めを命じている。効力は今も停止したままで、トランプ氏の見直し指示は象徴的な意味合いが強い。トランプ氏は石炭の採掘規制なども見直しを命じたが、石炭産業の雇用は以前から縮小しており、前政権の規制だけが衰退の原因ではない。また大統領令の空振りになる可能性もあり、支持率が上がる可能性は低いかも知れない。