液晶製造に大規模投資をしたことが裏目に出て屋台骨が傾いたシャープが、台湾の鴻海精密工業の傘下に正式に入ってから半年。17日朝の取引開始直前に2017年3月期の連結業績見通しを上方修正し、経常損益が99億円の黒字(前期は1924億円の赤字)になると発表した。戴正呉社長が進める「鴻海流」の経営改革が業績の底上げにつながりつつあるようだ。市場ではシャープの業績改善は来期も続くとの見方が多いと報じられている。予想外に早い復活を見せたといって良かろう。
一方いま経営危機に直面している東芝。ウエスティングハウスを買収したときの経営数字の分析が甘く、とんでもない負債を背負ってしまった。シャープの時より危ない状況にあるように見える。経営の内部管理に大きな欠陥があって、この買収にあたってもマイナスに目をつぶった可能性が高い。あるいはウエスティングハウスに騙されたと言っても良いだろう。どこまで銀行が融資を続けるかが生死を分けるところまで来ているようだが、日本屈指の重電メーカーが消えることになるかも知れない。半導体事業だけでなく、優れた燃料電池技術を持つ事業部門も外部に売られてしまうかも知れない。