トヨタ自動車はこれまで、燃料電池自動車の開発を進め、それへのつなぎのような形で、エンジンと蓄電池を組み合わせたハイブリッド車を商品開発してきたと思っていた。しかし、蓄電池価格の急速な下落と性能の向上が著しい中で、トヨタはその開発方針を再検討するようだ。トヨタ自動車は12月1日付で設立する電気自動車(EV)の戦略立案や開発を担当する「EV事業企画室」を、豊田章男社長の直轄組織にするということだ。社長直轄の組織にするということは、商品開発を重点的に推進することを意味するのだろう。EV事業企画室は豊島氏にデンソー、アイシン精機、豊田自動織機からの出向者3人の合計4人で立ち上げる。少人数の機動的な組織とすることで、ベンチャー企業のような運営を目指すとしている。欧州では電気自動車が今後の主要商品となるようだし、米国でもテスラモータースが電気自動車の販売に力を入れている。燃料電池自動車は、ホンダも開発している。しかし、燃料電池という発電装置は、構成部品が多いためにコスト削減が思うように進んでいないようだ。また、水素の充填設備の普及にも、充電設備の普及よりはるかに難しさが伴う。トヨタ自動車の経営方針転換が電気自動車開発だとすれば、世界の自動車市場に大きな影響を与えるだろう。