風が吹かなければ風力発電が発電しないのは当然。しかし、風をうまく捉えることができれば、定格に対する発電規模が大きくなる。風が強すぎれば、トラブルを避けるために発電を停めるようにもする。同じ風でも発電量の大きいものもある。これらを年間で総合すると、定格に対してどれほどの発電をしているかが分かる。経済産業省は国内で運転を予定している大規模風力発電設備の稼働率が平均25%に上昇するという調査をまとめた。2006〜10年に設置した設備の平均19%を6ポイント上回る。これを理由にして風力発電の買取価格を下げようとしているのはあまり賛成できないが、平均がこれほど実際に上がるとすれば、多少はやむを得ないかも知れない。風向きや風速が変わっても安定的に発電する技術が向上し、次第に稼働率が高まりつつあるのは嬉しいことだ。
これを促進しようとする技術開発をNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が進めている。日本には落雷によってトラブルを起こす設備が多いと言われる。特に日本海側の洋上近辺に設置されたものは、この地域の気象特性で雷がよく発生するためブレードに落雷して破壊したり、発電機能を停めたりすることが多いという。初期に設置されたものは、日本の雷対応が十分ではない海外製のものもあったので、被害も多かったようだ。落雷を起因とするブレード破損や火災事故等、公共安全確保の観点より早急な対策が求められ、発電用風力設備の技術基準において風車への雷検出装置の設置か゛義務付けられるようになっている。課題は落雷を検出する方式が適正に働くかどうかにあるらしい。そこでNEDOは、雷検出装置の評価手法を確立するよう、雷インパルス波形試験、交流電源を用いた周波数特性評価、長波尾電流による評価等を行い、雷検出装置の所要性能を検討する事業を始めている。適正に雷を検出することにより、新たな雷検知技術等の研究開発に着手するとともに、落雷による風車の停止時間低減、稼働率向上を目指している。これから日本でも風力発電の設備規模が拡大するのに備えたものだ。