効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

人間が起こす地震

今日の奈良新聞に、武蔵野学院大の島村特任教授が、シェールガスのリスクという表題で興味ある論考を出されている。それによれば、地震学の教科書には「米国では西岸のカリフォルニア州と北部のアラスカ州だけに地震が起きる」と書いてあるが、情勢はいま変わっているというものだ。2014年には米国南部にあるオクラホマ州地震が以前の50倍にも増えて、全米一になったという。この9月3日にマグニチュード5の強い地震が起きたそうだ。ここでは08年までの30年間に起きた地震は、ごく小さなM3まで数えても2回しかなかったように、無地震地帯だった。
これは明らかに人間が地殻に手を入れたことによって起こされたものだという。最初は1962年、米国コロラド州の軍需工場で放射性廃液の始末に困って深い井戸を掘って捨てた。ところが、それまで地震が全くなかったところに地震が起き始めたのだ。M5を超えるものもあったそうだ。最近、オクラホマ州をはじめ米国各地で起き始めているのはシェールガス採掘によるものだとしている。この採掘にはフラッキング(水圧破砕法)という手法が使われ、化学物質を含む液体を地下深くに超高圧で注入して岩石を破砕し、これによってシェール(頁岩)層に割れ目を作り、そこから層内の原油やガスを取り出す。これについてはこの日記でも何回か触れたことがあるが、島村氏によると、いわば、地下のエネルギーを解放する「引き金」を引いてしまったのだということだ。
シェールガス礼賛が主流だが、このような事実も広く知らせる必要があると思う。日本でも放射性廃棄物を固体化して地下深くに埋設することが計画されているが、地震国の地震をさらに誘発することは確実かもしれない。人間は地球のことに無知だということを謙虚に学ぶべきなのだ。