効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

レアアースを使わない磁石

高性能の磁石は、電気自動車の駆動部分などに必要だが、その性能発揮にはレアアースの重希土類を使うことがこれまで絶対条件になっていた。その素材は日本では産出しないので、安定供給と価格の面で劣位に置かれる可能性もあった。しかし、それを使わないものが開発されたようだ。ホンダの鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)の一角にこのほど真新しい設備が鎮座した。9月に売り出す新型ハイブリッド(HV)ミニバン「フリード」に搭載する駆動用モーターの生産ラインで、「世界初」の部材を搭載するために新設した。その部材とは高性能ネオジム磁石。しかもレアアースの重希土類を一切含んでいない新型磁石だ。通常の磁石の製法では、磁石合金を粉末にして焼き固める。しかし新製法では合金を粉末にせずに高熱で押し固める。結晶サイズが小さくなって耐熱性が高まるため、重希土類を添加しなくても済むようになったという。この重希土類のひとつ、「ジスプロシウム」は中国に偏在しており、政治的な緊張で調達が難しくなったり、市況が乱高下したりしやすい。一時中国が輸出規制をしたこともある。ホンダは自動車各社に先駆けて「ジスプロいらずの磁石」を採用したことで、HVやEVの要となるモーターの安定生産を可能にしたことになる。このような技術の開発は進められているだろうとは思っていたが、全くジスプロシウムを使わなくてもすむものができるようになるとは驚きだ。