効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

レアアースと中国

中国からのレアアース輸入がやっと再開されたようだが、中国に日本の生産が支配される可能性について認識が深まったのは長い目で見れば良いことだろう。中国以外でレアアースを生産するプロジェクトも幾つか報じられている。
東芝がウラン採掘時に発生する副産物からレアアースレアメタルを回収する技術を開発したと発表している。原子力発電の廃棄物処理技術を応用したということだ。回収するレアアースは電気自動車のモーター用磁石などに使うジスプロシウムとネオジムレアメタルの一種で航空機のジェットエンジンの材料になるレニウムも対象にしている。原発で発生する高レベル放射性廃棄物の処理技術を応用し、ウランを抽出した後の溶液から電気分解で回収する。通常のレアアース鉱山での採掘に比べ、プラントの設備投資額を5分の1に抑えられ、回収時の廃棄物も出ない利点がある。
善し悪しは別にして、これからウラン需要は高まる。その過程で副産物が利用できるというのは望ましいことだ。しかし、当面の課題であるレアアースの価格高騰、入手困難が解消されるわけではない。中国は自国資源のコントロールがこれほど有効なのだということを知ったのだから、これからもいろいろな課題を日本に投げかけてくるだろう。最近、ペットボトルの回収再生が国内でうまく行かなくなっている。中国が高値で廃棄ペットボトルを買い取ってしまうので、国内の再生プランとの操業を維持する量の確保ができないという。大きな懐を持つ中国が、市場経済に介入する術を知れば、それを政治的に利用することに躊躇はしないだろう。日本は厄介な国を隣に持っていることを念頭に置いて行動しなければならなくなっている。これまで日本は中国の経済と政治が一体化していることにあまり注意してこなかったのを気づかされたのだが、それへの対抗策を政府レベルで検討する力が日本にないように見えるのが心配だ。