豊田通商は18日、カナダの燃料電池大手、バラード・パワー・システムズ(ブリティッシュ・コロンビア州)と販売契約を結んだと発表した。日本国内でバラードの製品を携帯電話の基地局や輸送機器向けに売り込む。燃料電池車(FCV)の普及などをにらんで水素関連のビジネスを拡大し、バラード製品で2021年までに年間50億円の売上高を目指すとのこと。バラード社はPEFCのメーカーで、欧米では各種の移動機器や、高速道路検問所の電源などに広く利用されている。日本のメーカーのPEFC(固体高分子型燃料電池)と比べて応用範囲が広いので、どうして日本に市場を求めないのか不思議に思っていた。日本では家庭用電源として推進されているが、他の分野への利用は遅れている。豊田通商は既に需要がある携帯電話の基地局で使う非常用電源として売り込むほか、バスやトラック、鉄道などでの活用を提案する。主力取引先のトヨタ自動車も燃料電池の開発に力を入れているが、バラードは様々な用途に応用できる幅広い製品群を持っており、トヨタの製品と補完関係を築けるとみている。トヨタが最近フォークリフトへの燃料電池利用を進めようとしているが、この分野はバラードが強い。日本のPEFCメーカーにとって協力は競争相手が生まれることになるが、相互に刺激し合って市場を拡大して欲しいものだ。