効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

帆船効果

東レ経営研究所の増田 貴司さんが書かれたもので学んだものだが、技術開発には帆船効果を念頭に置かなくてはならないようだ。革新的な技術が出現すると、旧来産業が負けじとばかり既存技術を改良して競争力を高める結果、既存技術が延命し、革新技術の普及時期が遅れることがある。これを表現する言葉だという。19世紀初頭に蒸気船が実用化されたが、旧来の帆船は即座に蒸気船に駆逐されることなくむしろ進化を遂げ、かえって帆船が活躍する時代が長引いたという事例に基づく用語だそうだ。帆船効果は最近でも起こっていて、燃料電池車や電気自動車の開発進展を背景としたガソリンエンジン車の進化、電磁調理器の登場を受けたガスコンロシステムの発展などがその例だとする。新技術が実用化するには時間がかかるものだが、それが既存の技術をいずれ駆逐するとすれば、既存の技術向上も時間経過をよく考えながら実施しなければ、完全に退路を断たれてしまうケースもあるだろう。今進行中の第四次産業革命がどのように世界を変え、10年後のビジネスの姿がどうなるかは、誰も正確に予測できない。だから、これから多面的に進む技術開発のどこを抑えることが競争に勝つことになるのか、情報収集と知恵比べの場がこれから拡大するだろう。