効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

低温域産業排熱から約2倍の温度差で熱回収

今日受け取ったNEDOニュースで知ったのだが、NEDOプロジェクトで、未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(TherMAT)の組合員である日立ジョンソンコントロールズ空調(株)らは、産業排熱等の利用可能温度をより低温域まで拡大し、従来の約2倍の温度差で熱回収が可能な一重効用ダブルリフト吸収冷凍機「DXS」の開発に成功したということだ。現在、運輸・産業・民生の分野において、一次エネルギーの半分以上が利用されずに排熱として捨てられている。このような背景のもと、NEDOは利用されることなく環境中に排出されている膨大な量の未利用熱に着目し、その「削減(Reduce)・回収(Recycle)・利用(Reuse)」を可能とするための革新的な要素技術の開発と、システムの確立を目指した「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」を2015年度から実施してきた。具体的には、産業排熱等の利用可能温度をより低温域まで拡大し、一般空調の冷房用途や、さらに低温を必要とする冷蔵、冷凍用途にも利用可能な低温駆動ヒートポンプの研究開発を実施してきた。その成果として、TherMATの組合員である日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社と株式会社日立製作所は、熱駆動ヒートポンプの一つである従来の一重効用吸収冷凍機にダブルリフトサイクルと吸収液の循環にパラレルフロー方式を採用し、試作機の設計、製作および試験評価を共同で実施した。その結果、95℃の温水排熱について、従来は75℃までの熱しか回収できなかったところを、より低温域の51℃まで熱回収できる(冷水入口12℃→出口7℃、冷却水入口27℃→出口33℃の仕様の場合)一重効用ダブルリフト吸収冷凍機「DXS」の開発に成功したということだ。日立ジョンソンコントロールズ空調(株)は、この開発技術を適用した吸収冷凍機を製品化し、2017年4月から販売を開始している。これだけ大きな温度差の熱回収ができれば、エネルギー利用効率を大幅に高めることができるだろう。