トヨタ自動車は、製造に必要な部品などを指定の日時に納入させることによって、在庫コストを減らし、生産効率を大きく上げることに成功した企業だ。だが、部品の供給の難しさを感じさせる事態が報じられている。トヨタ自動車は1日、8日から13日までの6日間、国内車両工場の全ラインの稼働を停止すると発表した。1月8日に発生したグループの愛知製鋼の爆発事故の影響で、エンジンや変速機などに使う一部の特殊鋼部品の確保が難しくなったためだ。愛知県内にある4つの自社車両工場と、グループの豊田自動織機、トヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)、トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)などグループや子会社の全12工場が稼働停止の対象となる。ダイハツ工業や日野自動車にトヨタが生産委託している工場も含む。海外の車両工場やエンジン工場などは通常通り稼働するということは、海外ではこの特殊鋼部品を製造しているのだろう。そうでなければ、全工場が停まる可能性もあった。例えば特殊な設計をした小さなビスの納入ができなければ、全部の製造ラインを停めざるを得ないということだ。このリスクと在庫調整のバランスの問題かもしれないが、他のメーカーでも地震の影響でメーカーから部品が供給できないために製造ラインが停まった事例は多い。トヨタ自動車も2011年の東日本大震災の際に、車両工場やエンジン工場など国内全工場の稼働を10日間停止したことがある。これに匹敵するものだが、原因となった事故を起こした愛知製鋼はどのような補償をしなければならないのだろうか。