効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

熱利用の効率化

日本全体のエネルギー効率を上げるには、気付かれずに失われている熱を有効に使う必要があることは、日記でも何回か書いたことがある。そこにやっと政府が重い腰を上げたようだ。報道によると、政府はごみや間伐材などを燃やして出る熱を家庭や企業で利用する仕組みをつくるということだ。来年度以降に「地域エネルギー事業センター」(仮称)を全国100カ所に整備し、ごみ処理場などから出る熱を周辺で活用できるようにするらしい。新たな温暖化ガス排出を抑制したエネルギー源として育てるとともに、周辺の家庭や企業などの光熱費を最大3割減らす効果を見込むというが、実際にそれを実行するにはいろいろな障壁があると思う。個々の住宅とかオフィスビル、工場単位で熱の利用を効率的に行うのに地域住民の同意をとる必要はないが、今回の施策は熱の利用を広域で行おうとするものだから、趣旨には賛同しても自分の前の土地が掘り返されるのは嫌だという住民は少なくないはずだ。現在はごみ焼却施設の熱で温水プールを運営するケースなどがあるが、広域的に熱をエネルギーとして活用する事例はほとんどない。総務省経済産業省林野庁環境省の4省庁が年内にも、新しいプロジェクトへ向けて金融機関や経済団体が参加する協議会を全都道府県に立ち上げ、政府の支援策などを盛り込んだ指針もまとめるとするが、金で済む問題ではなかろう。来年度から段階的にセンターを整備する方針で、センターは、ごみ焼却施設や間伐材などを燃やすバイオマス施設、天然ガスを使うコージェネレーションシステム(熱電併給設備)などを中心につくる。ごみなどを燃やして出た熱を、暖房の熱源として周辺の病院や学校、企業、家庭が使えるようにする。一方、水を蒸発させて冷水もつくり、冷房にも活用する(吸収式冷房のことか?)という内容だが、立地の問題だけで立ち往生する可能性もある。これに事業性がなければ参画する企業はないだろうし、財政の苦しい地方行政にも実施は困難だ。運営の担い手はLPガスなど地元企業を想定しており、熱の使用料などを徴収することで利益が出るようにするというが、絵に描いた餅になる可能性が高い。