効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

天然ガス幹線

経済産業省はこの15日に、総合資源エネルギー調査会の専門委員会を開き、天然ガスを国内で融通し合うためにガス管網を広域で敷いた場合のコスト試算を示したと報じられている。横浜から北九州までを結び、地下に貯蔵施設を建設すると1兆9600億円の建設費がかかるとしている。横浜というのは関東地区にある東京ガスのガス供給網に接続できるからだろう。東北、北海道が入らなかったのは、遠い将来になるかもしれないし、実現しないかもしれないロシアからの天然ガス輸入がパイプラインで行われることを想定すると、少し残念な気もする。コストだけでも検討する方が良かったと思うが、それを明示するとロシアに日本への天然ガス輸出推進の口実を与えるかもしれないので、内部資料として公表していないのかもしれない。この投資額が大きいか小さいか何とも分からないが、天然ガス幹線敷設が政府ベースで行われたこと自体に大きな意味があり、画期的とも言える。これまで都市ガス業界は、地方に行くと大きなガス需要がないために投資が回収できないということで、自ら幹線を設置するには大都市周辺だけだった。そのため日本の都市ガス事業は相互にパイプが繋がっていないのが殆どで、相互融通が曲がりなりもできている電力業界にも及ばなかった。
だが、これから原発依存を下げるとすれば、新しい発電所の建設が必要だ。大規模な発電所にはどうしても冷却水が必要だから、海沿いに建設しなければならない。その時に、規模が比較的小さいガス発電を、コージェネレーションを主体にしながら海や大きな川から離れた地方で行うことができれば、少しずつ能力を増やすことができるから、パイプラインを新設することは、エネルギー安全保障のためにも重要なことになる。ガス発電が地方に分散設置されれば、風力発電太陽光発電のように出力が変動する電源が系統に与える悪影響を大きく抑制することもできる。それを考えればこの投資は高いものではないのかもしれない。この議論がこれからどのように展開するかが見物だ。