効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

政府の電源構成案

経済産業省は28日、2030年時点の望ましい電源構成(ベストミックス)案を公表した。原子力の比率は20〜22%と、東日本大震災前の28.6%より低くする一方、太陽光などの再生エネルギーは最大24%を掲げ、原子力を上回る普及をめざすという。この裏を推察すると、何とか原発の再稼働を最大限に見込んでから、それを上回る再生可能エネルギーの数字を示してイメージを悪くしないようにしたのだろう。ワーストミックスではないか。政府は原発を、コストが低く、昼夜を問わず安定的に発電できる基幹電源の一つと位置づけており、稼働から40年以上の老朽原発の運転延長も織り込んでいる。原発を安定電源だとするのはまやかしである。稼動を始めるとできるだけフル稼動に近い運用をしなければならず、出力を変化させるのは安全操業を危うくするほどの影響を与えるという、極めて柔軟性に劣る発電設備だということを隠している。また、コストが低いというのも、低くなるような政治的算定をしているからにすぎない。石炭火力も出力を柔軟に変えにくい。原発と石炭火力を基盤電源とするのは、これからの社会的損失を拡大するものとなるだろう。太陽や風力からの発電出力が天候に左右されて変動するのは事実だが、日本全体に設置された設備の出力を重ねていくと、変動は全国的な系統制御で十分対応できるほどのものに収まるし、天候予測によって変動は予見できる。電力需要も変動しているのだが、経験による予測に基づいた制御が行われているのと大きな差はないと言える。一方、LNGを燃料とするコンバインドサイクル発電を抑制しようとしているのは、環境負荷も含めた長期的な見方からすると全く肯けないものだ。世界が、風力発電太陽光発電を将来の主たる電源としようとする中で、日本だけがこの流れに逆らっているのは残念なことだ。