経済産業省は2030年時点の望ましい電源構成「ベストミックス」について、原子力発電の比率を21〜22%前後とする方向で調整に入ったようだ。太陽光などの再生可能エネルギーの割合は23〜25%と原発を上回る水準にする。原子力の比率を東日本大震災前の28.6%から大きく減らし、再生エネを最大限に導入する姿勢を打ち出すと報じられている。電源構成は経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」で議論し、月内にも決める。再生エネが原子力を上回る割合とする計画を示すのは1990年以降で初めて。政府は年末の第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)に向け、30年時点の電源構成を二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの削減目標を決める前提とする。この記事の中で書かれているように、国内の原発を40年で廃炉にすれば原子力の比率は15%程度になるが、原子力規制委員会の安全審査に合格すれば最長20年運転を延長できる。経産省は原発の運転延長で21〜22%まで増やせるとみているということだが、そのようにうまく進ませるのは難しいだろう。原子力規制委員会は政府とは独立した組織だから、慎重な検証をするだろうから、その間に年数が経つし、古い設計の原子炉を安全だと言い切ることは至難の技だろうからだ。一方、火力発電は全体の5割半ばを占める見通しで、石炭は30%弱、LNGは25%前後、石油火力も減らし、5%未満にする方向で調整している。石炭火力が多いのは、年末にパリで開かれるCOP21で強い非難を受けることは確実。今年から新設された広域連系管理組織の手で、再生可能エネルギーの導入が拡大できるような管理と系統強化を行わざるを得なくなると思う。